しかし極楽の蓮池の蓮は、少しもそんな事には頓着致しません。

 芥川龍之介の短編である『蜘蛛の糸』は、あらすじだけ聞けば、いましめや教訓めいた物語のようだが、これは「人間の性」と「人生の無常観」を象徴したようなものであるとも読むことができそうである。

 かん陀多は、悪行の限りを尽くしていた中、「気まぐれ」によって蜘蛛を助けた。 御釈迦様もまた、かん陀多にチャンスを与えようという「気まぐれ」によって蜘蛛の糸を地獄に垂らした。

 きっかけはどちらも些細なことかもしれないが、 続きを読む