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出版業界の明暗が垣間見れた「第23回東京国際ブックフェア(TIBF)2016」

行ってきました。

 

第23回東京国際ブックフェア」。

 

tokyobookfair2016

 

今回が初めての来場だったのですが、出版業界の取り組みや雰囲気、各出版社の社員さんの働きぶりを直接見ることができました。

子どもたちを対象にしたブースは会場の4分の1ほどを占めていて、体験型イベントやワークショップなど、楽しみながら本に親しむコンテンツが豊富でした。

 

一方で、一般書籍や専門書籍のブースは、各社でテンションの差が浮き彫りに…。張り切っている出版社でも、やっていることは、その場で如何に本を売るかということ、というものが率直な印象でした。

目玉のブース展示は、470の出版社が出展している目玉コンテンツですが、品揃えは大型書店と大差なく、販売員もただ本を売っているだけという状態でした。文化祭シーズンなのでしょうがないかもしれませんが、盛り上げ方が、冊数限定のサイン本の販売や、割引セール、アイドルによるイベントなど、”その会場で行う意義”が感じられないことは、数年前からも各所で言われているようです。

470社が出展しているということですが、いくつかの大手出版社は数年前から出展を降りているようで、そちらの理由の方が、この業界の問題点を浮き彫りにさせているのかもしれません。

 

本好きにはたまらない「東京国際ブックフェア」とは? | 本の要約サイト flier(フライヤー)

人気著者による無料講演会など、本と出版に関する多種多様なイベントが行われる、日本最大の「本」の展示会、「[link:http://www.bookfair.jp/]東京国際ブックフェア[/link]」…

www.flierinc.com

 

現在、東京国際ブックフェアの企画・運営チームは、コアメンバーが10数名いて、開催当日には応援メンバーも加わります。まずは、開催の数か月前から、「どうしたら読者が普段手に取らないような本に興味を持ってくれるか? 本をもっと好きになってくれるにはどんな仕掛けがいるか?」という観点で、企画の全体像を練ります。

 

こちらの記事にある、展示会を主催する東京国際ブックフェア取締役局長の岡部憲士氏へのインタビューによれば、今回から「読書推進」というテーマを打ち出し、企画・運営しているようで、来場者からの反響と出版社と読者の交流がこのイベントの意義だということです。

ネットや電子書籍、近くの大型書店で目当ての本はすぐ手に入る今、わざわざ会場に足を運ぶ新規の読者はどれほどいるのでしょうか。講演やイベントの待ち時間も惜しむかのように本にかじりついている”本好き”たちに、さらに本を売りつける方法を考えるような企画ばかりで、内輪だけで盛り上げっているような停滞感が漂っていました。

電子書籍の台等や若者の読書離れが、本の売上を圧迫していると叫ばれていますが、この状況を改善する抜本的な改革の兆しが見られず、非常に残念でした。もちろん出版社の方々にとって、売上は第一の課題ではあることは確かですが、問題解決やイノベーションが起こりづらい雰囲気があるのかもしれません。

本に新たなデザインを生み出した文鳥文庫

多くのブースの中で、個人的に目が引かれたのが、文鳥社の『文鳥文庫』でした。

 

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そのブースには、2人の販売員さんと2冊の本だけが置かれ、そのシンプルな装丁の本は、他のどの賑やかなブースよりも、ひっそりと存在感を醸し出していました。

 

文鳥社 公式ホームページ

 

「文鳥文庫」とは、長くて16ページの短編が、蛇腹折りになっている長方形の紙に印刷されているものです。日々の合間の10分や15分程度で読むことのできる文学作品と、短編を読むのに最適であるようにデザインされた斬新なフォーマットは、新たな読書体験を与えてくれます。

 

理系出身コピーライターが「文鳥社」で実践する”デザイン思考”|SENSORS|

博報堂でコピーライターとして勤務ののち、昨年デザインカンパニー「文鳥社」を創業した牧野圭太氏。Facebookの人気ページ「コピーライター

www.sensors.jp

ほんの10分の深い文学体験。「文鳥文庫」がうまれるまでと、これから。 | 読む・聴く・観る・買う | クロワッサン オンライン

長くても16ページ、読み終えるまでに10分くらい。そんな「文鳥文庫」発売元の文鳥社代表の牧野圭太さんをインタビュー。

croissant-online.jp

 

 

「デザイン」とは、本来、「ある問題を解決するために思考・概念の組み立てを行い、それを様々な媒体に応じて表現すること」という意味で、一般的にイメージされる、装飾やヴィジュアルの設計に、機能性などのアウトプットが加わったもののことを指します。

ただ、シンプルで見た目をカッコよくするだけでなく、そこに新たな機能や体験を加え、従来の読書体験に新たな付加価値をもたらすという意味で、「文鳥文庫」は、革新的であるように思われました。

現在は、

  • 『文鳥文庫 日本文学8名作』
  • 『文鳥文庫 第二弾「ふたり」』
  • 『文鳥文庫 第三弾「謎」』

の3冊が発売されているようです。

販売は、オンラインと全国の販売店(HP参照)で、定価1,296円で販売されています。

 

 

最近では、芥川賞・直木賞をはじめとする文学賞受賞作品では、又吉直樹さんの『火花』や、村田紗耶香さんの『コンビニ人間』、メディアミックスの一つとして書籍化した新海誠さんの『君の名は』、大人の塗絵、Twitterの口コミなどで全国に広まりつつある『文庫X』など、爆発的なヒットを記録している書籍も多くあり、面白い本は、重版がかかり、長年に渡りじわじわ売れている作品も多くあるようです。

一方で、電子書籍の規格統一や書店の在り方などの問題も依然としてあることには変わりがなく、読書離れは避けられないことだという半ばあきらめのような声も聞かれます。ですが、デザインやIoTなど、新たな技術を積極席に取り入れ、より多くの素晴らしい作品を、より多くの必要とする読者へ届ける動きを、今後期待したいです。

東京ビッグサイトで「第23回 – 東京国際ブックフェア2016」が本日9月23日(金)より3日間開催中!

本日9月23日(金)〜9月25日(日)の3日間に渡り、東京ビッグサイトで「第23回 – 東京国際ブックフェア2016」が開催されています。

 

⇛ 第23回東京国際ブックフェア2016 公式ホームページ

 

世界20カ国から470社が出展!

  • あらゆるジャンルの本が特別価格(一部例外を除く)
  • サイン会や洋書バーゲンなど、イベント盛りだくさん!
  • あの有名作家の講演も聞ける!(無料、事前申込制)

 

入場には、事前に無料のチケットを申し込む必要があります。

⇛ チケットの申し込みはこちら

また、「本がもっと好きになる!講演会」「「本」「出版」をもっと知るセミナー」「こども向けイベント」「ブックフェア限定企画」などのセミナー・イベントも催されています。

作家の林真理子さんや湊かなえさん、浅井リョウさんなど、人気作家の講演会や、『火花』の編集者、『BURUTUS』の編集長などによるセミナーなども開催予定です。

⇛ セミナー・イベントへの参加の事前予約はこちらから

 

その他、ブックフェアの限定企画など、本好きにはたまらない3日間。

本や出版に関する最新情報が手に入るでしょう。

 

イベント・セミナーの空席もまだあるようです。

ぜひ、みなさまも、足を運んでみてはいかがでしょうか。

お気に入りの本屋

『The Book of Life』 編集担当のReveです。

普段よく行く書店は大体決まっているのですが、その中でも『書原』という本屋はかなりマニアックな品揃えで、平日は0時まで開いているので、よく立ち寄ります。

哲学書や新書、文庫、デザイン・アート、音楽評論、映画評論、心理学、数学関連の本などの品揃えが素晴らしく、 続きを読む

【書評・ブックレビュー】 『憤死』 綿矢りさ

午後は昼寝と決まっていたから。

 人が大人へと成長していく過程には通過儀礼があり、それぞれの段階で欲求や衝動が満たされなかったり、葛藤が解消されなかったりすることで、その人固有の自我やコンプレックスが形成される。それらは、こだわりや嗜好となり、意識せずともその人の行動原理として働く。幼少期からのルールや習慣が大人になっても抜けないのはそのためであり、それが克服されたり昇華されたりすることで、人は精神的に成長していく。

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 古代ギリシャの哲学者ソクラテスは、不正な告訴と裁判によって死刑を宣告された。牢獄で処刑を待つ彼を親友クリトンが訪ねた時、彼は擬人化した祖国アテナイの国法と自分自身との対話篇を作り上げ、それによって友に死を受け入れるべき理由を説いた。上記は、その対話篇の一部、国法が彼に対し、正義に殉じて死ぬべきことを諭す場面での台詞である。そこで説かれているのは、 続きを読む

【書評・ブックレビュー】 『きつねのはなし』 森見登美彦

この夏、死に向かって歩みながら、祖父は何を飲み続けたか。水だ。

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【書評・ブックレビュー】 『刺青』 谷崎潤一郎

其れはまだ人々が「愚」と云う貴い徳を持って居て、世の中が今のように激しく軋み合わない時分であった。

 いつの世も、いにしえの世に憧れを抱いている。より健康で、より賢明で、よりも寛容な、失われた人間本来の有様が、そこにはあった・・・・・・。実際、そんな理想郷はいつの時代にも存在しなかったが、それでいて、いつの時代にも戻るべき場所として求められ続けた。

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