スポンサードリンク


ハーモニー

【書評・ブックレビュー】『ハーモニー』 伊藤計劃

御冷ミァハの幽霊と、零下堂キアンの無邪気さのあいだ。
そこでわたしは宙吊りになっている。

  西洋で発展してきた芸術や科学には、ある一定の「方向性」がある。一見複雑に見える事象にも、まだ人類が発見していない”ミッシングリンク”があるはずという推測のもと研究されていることも多い。確信めくほどに自明だと思われる「調和」は、人間の意識の憧憬であるのかもしれない。人の意識は、「調和」を求めている。逆に言えば、人間の不完全さが複雑さを生み、それに意味を見出すことが、意識の役割(生きる意味)であるようにも思われる。 続きを読む

【書評・ブックレビュー】『いま集合的無意識を、』 神林長平

「あなたは、ぼくの一部だ」

 様々な芸術の中でも小説は、言語を用いながら言語以上のものを表現するという特異な性質をもつ。フィクションという虚構を言語で作り上げ、それを様々な人が共通に認識できるからこそ意義がある。本来は、完成された作品には作者の意図も読者の解釈も必要がなく、その物語りがただ存在しているだけに過ぎない。文字で書かれなくてもよい。そういう不安定なものを文字に起こし、具現化する職人が小説家なのだろう。そういった本来の意味での小説家にとって最大の敵は、誤読である。

続きを読む

スポンサードリンク