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【書評・ブックレビュー】 『キャラクターメーカー』 大塚英志

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 大塚英志の『キャラクターメーカー』は、物語とは不可分な関係にある「キャラクター」を ”作る” ために、その方法を論理体系化し実用化する、という方法論の解説書である。先日記事にも書いた同著者の『ストーリーメーカー』や『物語の体操』と同様に、「小説には特別な才能は不要で誰にでも書ける」という主張を、分析的に解説している。

個性=テンプレの差別化

 大塚英志は、「私小説の『私を書くこと』と漫画やゲームの『キャラクターを作ること』の間に本質的な差はない」という前提に立っている。同じ方法論で量産されてきたキャラクターの中にも、魅力的なキャラクターが登場するのは、つくり手の「私」がしっかりと反映されているからであり、「物語論」により典型的なキャラクターを無理やり生みだし、それにかけるバイアスをコントロールすることで個性的なキャラクターを作る、という方法をとる。
 つまり、無いものを創りだすというよりは、もう既にあるものを編集し魅力的に見せるための方法論を採用するということであって、あれこれと悩み時間を浪費するよりは、差別化をはかる部分に時間を割き、より生産的になろう、ということである。

 

「キャラクター」はどこから来てどこへ行くのか

 ジョージ・ルーカスがこのような方法論をとり「ハリウッド映画」の手法として定着して以来、さまざまなキャラクターコンテンツではこのような手法がデファクトスタンダードになっているようである。特に、日本のアニメやラノベの世界では、いわゆる “おきまり” が求められている部分があり、そこに二次創作的な余地や予定調和を利用した仕掛けなどが張り巡らされ、読者との距離を測る傾向が強いように思う。日本では言文一致の流れと手塚治虫の「まんが記号説」にみられるようなキャラクターの抽象化からの流れが、現在にも影響を与えているという。

 一方で、キャラクターが持つ共通の要素は、貴種流離譚や古くからの民話など、昔からある物語や作品を分析して得られた共通の性質である。「ファミリー・ロマンス」や「移行対象」がキャラクターに心理を持たせ動かしていく動機付けとなる。すべての小説のキャラクターにこの方法論が適用できるとは限らないが、一つの強力なアプローチであることは間違いない。

 

タロットカードを用いて「キャラクター」を作る

 『ストーリーメーカー』の記事でも紹介した「タロットプロット」というサイトでは、タロットカードを用いたキャラクターメーカー用のWebアプリも用意されている。物語に登場する主人公を中心とした9人のキャラクターの性質をタロットカードが持つ抽象的なキーワードを用い、主人公との関係性を作ってしまうというものと、各キャラクターのペルソナを7つの要素から作り出すためのアイデアを得ることができる。

タロットプロット

tarot-plot.com

 実践で使えるかどうかは別として、一度、これらのワークショップを通して、小説を書いてみるということをやってみるのも面白いかもしれない。

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