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【書評・ブックレビュー】 『ストーリーメーカー』 大塚英志

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 漫画「多重人格探偵サイコ」の作者として有名な大塚英志が、「物語」に対する一つのアプローチ方法を解説したのが、この『ストーリーメーカー』。同著者の『物語の体操』をベースとして、『ストーリーメーカー』と『キャラクターメーカー』は、ワークショップ形式をとり、より具体的かつ実践的な解説と例が提示されている。

 

物語りのプロットは機械的に作る

 「物語の文法」として、30の質問に記述形式で答えていくことで、さまざまなストーリー性を必要とするものに応用できるプロットが完成するというもの。ここで言われている「物語」とはプロットの事で、その表現方法とは完全に切り離されている。音楽で言えば音楽理論のことで、絵画であればデッサンのことを指しす。そして、和声や対位法をマスターしていたり、正確なデッサンが描けることが必ずしも完成された作品の評価を決定するものでないのと同様に、「プロットはあくまでも、ストーリー性をもつ作品のベースである」という考えが前提としてある。

 第1部で様々な例から「物語りの構造」や「何が物語を物語たらしめるのか」ということを分析し、第2部で「ストーリーメーカー」として、30の質問に答えていくことでストーリーを作る実例が示されている。そして、興味深いのが、「そもそも物語を書きたいけど、書きたいことがない人」のために、タロットカードを用いてそのカードが意味するキーワードを機械的に決めてしまうという方法も紹介されていること。。これは、それぞれのタロットカードが持つ意味が抽象的であることと、その抽象的な意味にどのような因果関係や意味付けをしていくかという創発を促すものとしては、非常に有用な方法であると思う。大塚英志の別書『物語の体操』でも、このタロットカードを用いたプロットの作成方法が詳しく解説されている。

 

オンラインで使えるプロット作成シミュレーター

 こちらのサイトでは、タロットカードによるプロット作成のシミュレーターを提供している。

プロットジェネレーター

prepozi.sakura.ne.jp

プロットカード

keitoushi.up.seesaa.net

タロットプロット

tarot-plot.com

 

どこで個性を発揮するか

 プロットを機械的に作ったからといって、これを全部利用したり、最後まで利用し通す必要はない。また、偶然にまったく同じプロットができたからといって、その二人がまったく同じ作品を作ることは不可能である。

 図らずも、個性はそういったところに表れてしまうものであり、それを上手くコントロールできるようになるのが、その人個人の技術である。もはや機械が小説を書くようになった時代で、「人間にしか書けないものは何か」というテーマも興味深い。

 とにかく、表現者は創ることをやめることはできないので、ひたすら作り続けるしか無いのだと思う。

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