「あなたは、ぼくの一部だ」

 様々な芸術の中でも小説は、言語を用いながら言語以上のものを表現するという特異な性質をもつ。フィクションという虚構を言語で作り上げ、それを様々な人が共通に認識できるからこそ意義がある。本来は、完成された作品には作者の意図も読者の解釈も必要がなく、その物語りがただ存在しているだけに過ぎない。文字で書かれなくてもよい。そういう不安定なものを文字に起こし、具現化する職人が小説家なのだろう。そういった本来の意味での小説家にとって最大の敵は、誤読である。

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